ISO 6789-1 の過負荷試験で、固定調整式工具にはどの容量を用いますか?
対象規格:ISO 6789-1:2017 · 更新日 2026-10-28
技術監修:Alston Hsiao(Chieh-Jen Hsiao)、STAND CTO
ISO 6789-1:2017 の 5.1.6 は公称容量に D/E/F を対応させていますが、当サイトでは分類と次の文を踏まえ、固定調整式の Type II、クラス B/E の公称容量と解釈しています。 原文のクラス表記は確認済みですが、この読み方は誤記の疑いについての解釈であり、ISO の公式正誤票ではありません。
自分で確認する:容量に続くクラスと次の文を見る
5.1.6 を開き、公称容量に添えられた「D, E and F」を確認してください。手順を作る際に、このクラス記号だけを抜き出して使わないようにします。次の文では、設定を調整する工具として A/C/D/F/G が挙げられ、D、F が再び登場します。前の文にあるクラスをすべて固定調整式と捉えると、両方の文の役割が一致しません。
続いて箇条 4 の分類を確認します。B は固定調整式トルクレンチ、E は固定調整式トルクドライバです。一方、D は目盛または表示器を持つ調整式トルクドライバ、F は目盛なし調整式トルクドライバです。目盛がないことと固定調整式であることは同じではなく、外観だけで分類を判断することもできません。
当サイトが B/E と解釈する理由
まず、容量の基準を分けて考えます。調整式工具には最大トルクと設定範囲があり、固定調整式工具では公称容量が固定された設定に対応します。D、F を固定調整式の基準に含めると、調整可能という特性にも、直後の設定に関する指示にも整合しません。その一方で、固定調整式の B は公称容量の列挙から抜けています。
ISO 6789:2003 の 5.1.6 では、公称容量に対応するクラスは B/E です。これも年版間の文章を照合する手掛かりになります。当サイトがこの解釈を採用するのは、分類と当該箇条の前後関係の両方に整合するためです。別の年版の記載が異なるという理由だけで、本年版の文章を置き換えるものではありません。
つまり、疑問点は「公称容量がどのクラスに対応するか」です。すべてのトルクドライバに公称容量を使う、あるいは目盛のない工具をすべて固定調整式とする根拠にはなりません。実際の工具を識別してから基準を選びます。
実務では試験記録に根拠を残す
「規格の年版、箇条、原文の表記、採用した解釈」を併記することを勧めます。原文の D/E/F を残したうえで、分類に基づいて固定調整式の B/E と解釈したことを別に記載します。容量欄には実際の工具の公称容量とその情報源を記録し、分類から数値の選択までを追えるようにします。
固定調整式の試験負荷を計算する際は、確認した公称容量を基準とします。調整式では、適用する箇条から最大トルクと設定条件を確認し、この疑問点を理由に別の試験手順を作らないようにします。本記事が扱うのはクラスと容量の対応です。試験の適用条件、手順、試験後の要求は全文を確認する必要があり、当サイトの解釈は通常使用時の過負荷を認めるものではありません。
以上は当サイトの解釈であり、ISO の公式正誤票ではありません。ISO は Part 1、Part 2 を改訂中で、現在は委員会原案 ISO/CD 6789-1.3、ISO/CD 6789-2.3 の段階です。改訂規格の正式発行後、本ページを更新し、改めて照合します。