附属書 C の繰返し性成分は、なぜタイプ A と表記されながら矩形分布を使うのですか?
対象規格:ISO 6789-2:2017 · 更新日 2026-10-28
技術監修:Alston Hsiao(Chieh-Jen Hsiao)、STAND CTO
ISO 6789-2:2017 の Table C.1 は w_re を Type A と表記しながら、C.6 の読み値の差から半幅を求め、矩形分布で換算しているため、当サイトでは表記の不整合として解釈の余地を残し、数値は式に従います。 これは ISO の公式正誤票ではありません。また、タイプ A と矩形分布が並んでいるだけで、分類が誤りだとは断定できません。
自分で確認する:同じ表の換算方法を比べる
Table C.1 の w_re を見つけ、「Type A」と矩形分布の表記を確認し、同じ表でタイプ B とされる w_r、w_z、w_rep と比べます。変動を表す量は異なりますが、いずれも範囲に 0.5 を乗じ、√3 で割る換算です。ここで比較しているのは標準不確かさへの換算の中心部分であり、相対的な百分率にする際は、原表に示された平均値を基準とする換算も必要です。
次に C.6 の b_re の定義を確認します。b_re = X1 − X2 は、取付位置を変えずに得た二つの読み値の差です。ここでは範囲に相当する量であり、一連の読み値から求めた標準偏差ではありません。入力する量の意味を確認すると、表記と計算法の関係にある疑問点が見えてきます。
分布名の誤りではなく、解釈上の疑問として扱う理由
この方法の b_re × 0.5/√3 は、範囲から半幅を求め、矩形分布で換算するものです。同じ表の他のタイプ B の項と同様の処理でありながら、タイプ A の表記が残っています。当サイトが指摘するのは、この表記と実際の評価方法の不整合です。
工具校正の Table 3 は事情が異なります。w_re の b_re は標準偏差で、b_re/√n によって換算し、タイプ A/正規分布としています。範囲に基づく成分はタイプ B/矩形分布です。この表は内部で整合しており、附属書の疑問点を理由に併せて誤りと扱うことはできません。工具の繰返し性の方法を、装置の方法の代わりに使うこともできません。
評価のタイプと分布モデルは別の概念であり、「タイプ A は必ず正規分布」という一般則はありません。また、測定データがあることだけでタイプ A 評価になるわけではありません。範囲から半幅を求めて矩形分布で換算するのはタイプ B 評価で一般的な方法ですが、これは分布による換算であり、それだけで当該項をタイプ A とすべきかタイプ B とすべきかは決まりません。
実務では表記と計算根拠をともに残す
「規格の年版、箇条または表番号、原文の表記、採用した解釈」を併記することを勧めます。原表のタイプ A 表記を残し、範囲、半幅、分布をどのように扱ったかを別に記録します。分類の文字だけでなく、元の読み値、その差、換算過程まで追える計算記録にします。
数値は引き続き装置の表に示された式で計算し、分類への疑問だけを理由に標準偏差や別の分布へ置き換えないようにします。同じ式を使う限り、表記だけを変えても数値結果は変わりません。入力する量や計算法を変えれば方法の変更となり、単なる文章の修正とはいえません。この区別を残すことで、技術確認の根拠をたどれるようになります。
以上は当サイトの解釈であり、ISO の公式正誤票ではありません。ISO は Part 1、Part 2 を改訂中で、現在は委員会原案 ISO/CD 6789-1.3、ISO/CD 6789-2.3 の段階です。改訂規格の正式発行後、本ページを更新し、改めて照合します。